Jasmile02
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▶2012年に開催された「第10回全国和牛能力共進会長崎大会」の様子。日本一の和牛を決めるとあって、会場は熱気に包まれます。日本一の和牛を決める「和牛のオリンピック」全国和牛能力共進会とは?ふるさとの旬を訪ねます。 2012年に開催された「和牛のオリンピック」こと「第10回全国和牛能力共進会長崎大会」で見事日本一を獲得し、その肉質の良さと美味しさを全国に知らしめた「長崎和牛」。5年後となる今年9月、宮城県仙台市で開かれる第11回大会を前に7月7日、長崎県代表牛を決める選考会が行われました。 そこで今回は、長崎県代表牛として選ばれた牛「とよきよふく」とともに全国大会へ向けての調整を続ける、肉用牛繁殖農家の石井慶彦さん(31)の農場を訪れました。農場訪問牛進とめと!も に日本一一歩へ一の歩道さいかい魅緑探訪(第2回) 平戸市田平町、静かな山あいに建ち並ぶ9棟の牛舎。石井さんとご両親、そして奥様の4人は、ここで130頭あまりの牛を育てています。 一般的に肉用牛の生産は、母牛に子牛を産ませて子牛を育てる「繁殖農家」と、子牛を仕入れて肉牛になるまで育てる「肥育農家」で分業します。石井さんの家は繁殖農家で、県北地域には他にも多くの繁殖農家が優秀な子牛を育てています。 そんな繁殖農家の1日は早朝からスタート。いつもと様子の違う牛や、産気づく牛がいれば昼夜関係なくすぐに駆けつける牛のお世話は、子育てと同じ24時間365日体制。石井さんの「顔を見ればどの子かすぐにわかるんですよ」の一言に、いかに牛たちへ愛情をかけて育てているかを感じることができます。 健康で丈夫な牛を育てるためのノウハウでもって、石井さんが5年に1度チャレンジするのが、全国和牛能力共進会。大会では色つやや肉付きだけでなく、その姿勢や動作の美しさをも競います。毎日のシャンプーとブラッシングで美しさを保ち、大会に向けて運動させたり、姿勢良く立つ調教をしたりと、マンツーマンでの努力は大会直前まで続きます。 全国大会への意気込みを石井さんに尋ねると「今回の牛は、長年の経験から見てもかなり優秀な牛で、手応えを感じています。牛にかける思いは誰にも負けません。日本一を目指して頑張ります!」と話してくれました。石井さんと「とよきよふく」の活躍に期待が高まります。  全国和牛能力共進会とは、和牛の能力と斉一性の向上を目指して、5年に1度開かれる全国規模の共進会で、通称「全共」と呼ばれています。 今大会は、テーマに「高めよう生産力 伝えよう和牛力明日へつなぐ和牛生産」と掲げています。和牛が持つ優れた能力にさらに磨きをかけるとともに、繁殖・肥育両面から生産効率を向上させ、日本の食文化を支える和牛の魅力を広く発信していきたいとの思いが込められています。 共進会は、雄牛・雌牛の体型の良さなど改良成果を月齢別に審査する「種牛の部」と、枝肉の状態で脂肪の入り具合などの肉質を審査する「肉牛の部」に分けられ、全国の代表牛約500頭が出品されます。優秀な成績を収めることで、その和牛ブランドの市場価値が全国的に高まるため、まさに威信をかけた大会となります。 和牛の改良の成果を競うだけでなく、開催地にとっては食や観光、物産、歴史文化などを広く全国へ情報発信できる絶好の機会となり、大きな経済波及効果が見込まれます。長崎県代表牛「とよきよふく」【取材協力】肉用牛繁殖農家石井 慶彦さん(平戸市)石井さんは牛の親代りだけでなく、実際に4人のお子さんを持つパパでもある。「幼稚園・年長の息子は、餌やりや牛舎の掃除を自ら進んでやってくれるんです」

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