Jasmile05
2/4

ふるさとの旬を訪ねます。 山に鮮やかな緑、空には濃い青。初夏の香りが漂う季節、佐世保市南東部・宮地区の瀬道(せどう)町を訪ねました。豊かな里山の風景が広がるこの地で、和洋中なんでもござれの万能野菜・ナスを育てる岡村大輔さん(35)。「身近な野菜だからこそ安全・安心を大切にしたい」という岡村さんのナスづくりへの思いを伺いました。農場訪問安自全然の・力安を心の信ナじスてを食卓へ第5回ナ スさいかい魅緑探訪 この地で代々農業を営む家に生まれ、自然と家業を継ぐことにしたという岡村大輔さん。農業高校を卒業後、農業大学校へと進学、野菜づくりを専門的に学んだのち、家業のナスづくりに加わって今年 岡村さん一家の畑で栽培しているのは、実がしまって味が良い長ナスの品種「筑陽」。長さが20センチくらいになったら収穫です。ツヤとハリがあり、スラリとまっすぐ伸びていることが、おいしい実の見分け方だそうです。 岡村さんの家ではハウスで4棟、露地で4棟分を栽培していて、収穫の時期には毎朝コンテナおよそ保市内や関東方面へと出荷されています。同じ品種でも、露地ものはハウスものと比べ、皮がしっかりと厚く、ナスらしい濃厚な味になるそうです。料理によって使い分けてみたいですね。で15年目となります。 「父、母、妻と共に野菜と向き合う日々が、何よりの幸せ」と語る岡村さんは、3歳の娘を持つ父親。わが子にも食べさせたい、安全・安心のナスづくりに取り組んでいます。 露地ものは4月に植えて6〜7月に収穫するのに対し、ハウスのナスは9月末に苗を植え、収穫は期が長いからこそ、株が病気にならないよう、毎日の手入れには特に気を使います」と岡村さん。「水やり、肥料、温湿度管理はもちろん、健康でおいしい実を収穫するには、枯れた葉や花をこまめに取り除くことも大切です」と続けます。 中でも大切にしているのが、低農薬の取り組み。害虫駆除に天敵を活用したいと、ハウスの入り口付近に花を植え、スリップスという小さな害虫に対する天敵(カメムシの一種)を招き入れます。この天敵たちが害虫を食べてくれることで、農薬を最小限にとどめることができるというわけです。 虫の力を借りているのは、害虫駆除だけではありません。受粉の時期になるとハウスにミツバチを放し、助けてもらいます。「この地に生きる生き物たちの力を借りることで、低農薬のおいしい野菜を育てることができます。人間は野菜の成長を見守り、生き物たちの数のバランスがくずれないよう、少しお手伝いをするくらいです」と話す岡村さんの言葉からは、自然への畏敬の念が感じられました。 「焼きナス、天ぷら、チーズ焼き、マーボーナス……食卓の人気者となる身近な野菜だからこそ、安全・安心を大切にしたい。これからも低農薬で、自然にも人間にも負担の少ないナスづくりが続けられるよう、家族とともにがんばっていきます」と抱負を語ってくれました。(佐世保市)写真左から、妻・美佳さん、長女・一花(いちか)ちゃん、大輔さん。「妻の作るマーボーナスが一番おいしいですね。3才の娘は、ナスの味噌汁が大のお気に入りです」と大輔さん。【取材協力】ナス農家岡村大輔さんご一家 20個分を選果場へ運び、主に佐世11月〜翌年7月と長期間。「収穫時

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る