ふるさとの旬を訪ねます。 春の暖かさを感じる3月下旬、新緑と海の青が美しい松浦市御厨町でキンショーメロンを栽培されている末武茂善さんのハウスを訪ねました。 キンショーメロンはこの時期のみしか栽培されない旬の味覚です。その味は、長年の経験と確かな栽培技術に支えられていました。農場訪問爽初や夏にかなしか甘さス味わえないキンショーメロン第8回さいかい魅緑探訪 メロン栽培のみを専門とする末武さんは、21歳のころからメロンの栽培を始めて今年で44年というメロン栽培のエキスパートです。ハウスは3,000平方メートルの広さを誇り、そのうちの900平方メートルでキンショーメロンを栽培されています。末武さんの栽培するキンショーメロンは糖度17度と爽やかな甘さを特徴とし、一年のうちで初夏の頃にしか味わえないという「旬」を感じることのできるおいしい果物です。 キンショーメロン栽培は、まずは土作りから始まります。11月〜12月までにあらかじめ土に肥料を混ぜておき、それから1月に苗を植え、3月に受粉をさせて交配します。それからしっかり実を肥大させるためにハウ内の温度を35℃まで上昇させ生育を促します。実が大きくなり、鮮やかな黄金色に成熟する4月末から5月の連休にかけて収穫を行い、出荷します。 「キンショーメロンは、一般的なネットメロンより、爽やかでさっぱりとした旬を感じる味です。ネットメロンはハウス栽培で一年中食べられますが、キンショーメロンはこの時期にしか作れないし、味わうことができません。一年に一度、その旬を感じてもらいたくて作っています」と話す末武さん。「いつも一人で作業をすることが多いですが、収穫が大変な時期には息子が手伝ってくれます。とても頼もしく、何より嬉しいです。しかし、農家は大変です。長年経験しても、気候が同じということはないのでメロン栽培はとても難しく感じますが、できるだけ長く松浦の名産としてこの味、品質を守っていきたいと思っています」と穏やかな表情で話してくれました。緑だった実が徐々に肥大し、キンショーメロンらしい赤みがかった黄色に変わる。ここまで育ったら収穫も近いキンショーメロン栽培は一般的には地這い栽培が多く取り入れられているが、末武さんのハウスでは立体栽培が採用されている。こちらの方が身体的な負担が少ないJAの営農指導員との交流も盛ん。とても心強い存在という「接木や台木など色々研究した結果、肉質の良い、甘くて味の良いキンショーメロンが栽培できるようになった」と話す末武さんの技術は長年の試行錯誤の賜物だハウス内の温度を一定に保つにはこまめな温度調整が不可欠。まだ外気温が低い時期に、高温に保たれたハウス内での作業はとても暑くて大変とのこと【取材協力】メロン専門農家末武 茂善さん(松浦市)メロンを専門に44年。独自に研究を重ね、さっぱり甘くて果肉の質が良い「旬の味」が自慢のキンショーメロンを栽培しています。
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