Jasmile15号
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ふるさとの旬を訪ねます。繁殖農家とは?「一生健康」の土台づくりそれぞれの牛に合わせて第15回和牛の繁殖さいかい魅緑探訪農場訪問とびきり健康な母牛と子牛を育てて人も牛も、心地よくつながりを大切に、挑戦! 肉牛を育てる農家は2種類に分けられます。母牛に子牛を産ませてその子牛を出荷する「繁殖農家」と、市場で子牛を買い大きく育てて出荷する「肥育農家」です。平戸市は古くから繁殖農家が多く、県内有数の和牛の産地として知られています。 畑原さんはそれまで兼業で関わってきた家業を継ぎ、4年前に専業の繁殖農家になりました。主に妻の絵莉さんと2人で、時に翔さんのお母さんの手を借りながら、約100頭の牛のお世話をしています。 母牛の足元で眠っていたのは、取材前日に生まれたばかりの赤ちゃん牛。体重はすでに30㌕もあるそうです。これから8〜11か月間スクスクと成長、300㌕前後で市場に出荷されます。 「子牛に求められるのは、なんと言っても健康。子牛は肥育農家さんの元で最終的に600〜800㌕の体格になるまで肥育されます。最後までしっかりエサを食べ、病気をせず成長できるように、子牛のうちに健康の土台を作ってあげるのが私たちの仕事です」と畑原さんは話します。 「どの牛にも共通するお世話は日々のエサやりと清掃、体調チェックです。運動も健康づくりの大切な要素。牛舎の外に運動場を設け、お日さまの光と風を浴びてのびのび運動してもらっています。 約100頭のうち、子牛と母牛の割合は現在ほぼ半々。子牛なら哺乳や離乳後の管理、出荷前までの育成、母牛であれば妊娠前の体づくりや出産のサポート、産後授乳期の健康管理など、生育ステージに応じて対応や配慮が異なります。わずかなサインも見逃さないよう、一頭ずつしっかり観察することを心掛けています」。 牛舎に入って驚いたのはその明るさと心地よさです。「環境整備も牛の健康には欠かせません。スペースをゆったり取り、天井を高くして開放的な空間にしています。病原菌を寄せ付けないよう、定期的な清掃で清潔を保っています。また牛が横になるときにお腹が冷えないよう、地面にはフワフワのおがくずを敷いています。牛も人も心地いいと感じる環境は同じですね」と畑原さん。そよそよと風が通り抜け、ほんのり漂うのは木の香り。まるで木陰にいるような快適さが印象的でした。 牛のエサとなる牧草の栽培に加え、今年からは飼料米の栽培にも挑戦。家では子育てに奮闘する大忙しの畑原さん夫妻。「農繁期には畜産だけでなく地域の若手農家メンバーで、助け合っています。さらに質の良い子牛を育てられるよう努力を続け、人とのつながりを大事にしながら平戸の畜産や農業を盛り上げていけるよう、頑張っていきたいです」と抱負を語りました。 晴れた日の朝、平戸島最北部・大久保町の牛舎を訪ねました。そこは平戸大橋や松浦、鹿町までが一望できる絶景スポット。緑に囲まれた明るい牛舎では、大きな母牛から小さな子牛までたくさんの黒毛和牛が、のんびり思い思いに過ごしています。牛たちと日々向き合う、繁殖農家の畑原翔さんにお話しを伺いました。【取材協力】平戸和牛部会畑原翔さん・絵莉さん(平戸市)

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