Jasmile 16号
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 みかんの生産量第5位の長崎県ですが、県北部のJAながさき西海が出荷するみかんは、全国JAの中でも市場からの評価が高いみかんなのだそうです。主に東京、仙台、大阪といった都市圏の市場に出荷されており、百貨店や高級果物専門店などで、とびきりおいしい高級みかんとして知られています。 温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれた針尾地区は、西海みかんの主な産地。登録された園地で、長年培われてきた栽培方法に沿って丁寧な管理が行われます。おいしさの鍵を握るのが、地面に敷くマルチと呼ばれるタイベックシート。雨水が土に入るのを防ぐことで、水分をコントロールして甘みを凝縮させます。また白色なので日光を反射させ、葉の光合成を促して養分たっぷりの果実を育みます。コクや旨みの強い濃厚なおいしさのみかんに仕上がるよう、有機肥料を中心とした土づくりも大切なポイントだそうです。 栽培方法だけはなく、選果にもこだわりが満載です。収穫したみかんは、まず傷などがないか生産者の目で選別されて共同の選果所に持ち込まれます。そこでベテランの検査員により検査を受けて、合格したものだけが機械での選別に進みます。 機械では光センサーとカメラにより大きさや色形、糖度や酸度を計測し、厳選した商品づくりを行います。糖度別に12度以上の「味まる」、13度以上の「味っ子」、また12月からは県下統一ブランドで14度以上の「出島の華」のブランドに分かれ、箱詰めして出荷されます。「どれを食べてもおいしい」西海みかんの裏側には、関わる人たちの並々ならぬ工夫と努力があるのですね。 西海みかんの品質向上、認知度向上のために長年取り組みを続けているのが、佐世保市・松浦市・平戸市・佐々町のみかん生産者から成る「させぼ広域かんきつ部会」です。部会全体の栽培面積は440ヘクタールで、うち9割を佐世保市で栽培しています。ブランドみかんの確立や高品質・安定生産への取り組みと成果が高く評価され、2016年の農林水産祭では最高位である「天皇杯」を受賞しました。 今回お話しを伺った佐世保市の生産者3名は、同部会の若手メンバーで構成する「味っ子研究会」でも活動中です。20年以上続く研究会では、栽培技術向上や加工品の開発などを行なっています。 最近では地元での認知度向上や販路拡大のため、イベント出店やSNSでの発信にも力を入れています。また加工品開発では、コクと旨みのあるみかん果汁を生かした添加物不使用のステーキソースを試作中だそうです。 お歳暮やお土産などを選ぶときも「佐世保といえば、みかん」と思い出してもらえる名物になることが、ひとまずの目標だと3名は語りました。 今年のみかんは、夏の雨量が少なくしっかりと甘みが出て、濃厚なおいしさに仕上がっているそう。これからが旬、ぜひ日本一のみかんを味わってみてくださいね。 佐世保湾と大村湾の間に浮かぶ針尾島。小さな漁港から山手の方へと上っていくと、たわわに実ったみかんの畑が辺り一面に広がっていました。穏やかな海と針尾送信所の3本の塔が見える高台のみかん畑で、最高のみかんを作る若手みかん農家3名に、西海みかんのおいしさの秘密についてお話しを伺いました。ふるさとの旬を訪ねます。大都市圏で人気の西海みかん栽培のこだわり人の目と機械の目で厳選させぼ広域かんきつ部会若手みかん農家第16回さいかい魅緑探訪農場訪問西海みかん おいしさをつくる、伝える。【取材協力】させぼ広域かんきつ部会(写真左より) 浦上 智瑛さん(26)本城 大樹さん(33) 本山 賢彦さん(39) 味っ子研究会のインスタグラムはこちら ➡プレゼントキャンペーン実施中 

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