Jasmile 17号
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Jasmileれませんが、これがおいしいぶどうを育てるための大事な仕事なんです。一粒ずつに栄養がしっかり行きわたって、甘みがぎゅっと凝縮されますし、粒と粒の間に適度な空間ができることで、大きくて粒ぞろいの、見た目も美しい房が仕上がります」と吉原さん。摘粒が終わると、袋掛け。ひと房ずつ紙袋をかけることで病気や害虫、強い日差しなどからぶどうを守ります。 一年間、これらを全て手作業で約6千房分。吉原さんと奥さんの2人でやり遂げるというから驚きです。気の遠くなるような地道な作業の積み重ねが、御厨ぶどうのおいしさを支えているのですね。 こうした丁寧なお世話はもちろん、松浦の温暖な気候と赤土の土壌も、ぶどうのおいしさを支える大きな要素だと吉原さんは語ります。「このあたりの赤土は保水性と排水性のバランスがよくて、根が張りやすいんです。ほどよく栄養と水分を保つので、甘みがしっかりのった実が育ちます」堆肥や油かすなど植物由来の有機物を使用。土の中の微生物を元気にする土づくりからも、吉原さんのぶどうへの熱意が伝わってきます。 収穫のピークとなる7月28日と8月4日、毎年恒例の「ドライブスルー即売会」が行われる予定です。吉原さんたちが丹精込めて育てた極上の御厨ぶどうを求めて、例年100台を超える車が行列を作ります。 「今年も甘くておいしいぶどうに仕上がっていますので、ぜひたくさんの方に食べてほしいです」と吉原さん。暑い日を乗りきるごほうびに、家族が集まる日のデザートに、またお中元として各地へ贈る人も多いそうです。ひと粒に込められた情熱とおいしさ、ぜひ今年も味わってみてくださいね。ぶどうに最適の赤土夏のごほうび、贈り物にも生産者グループ紹介JAながさき西海御厨ぶどう部会JAの現場から 吉原さんが部会長を務める「JAながさき西海 御厨ぶどう部会」は、松浦市御厨町と星鹿町のぶどう農家9戸が所属する生産者グループです。36歳から83歳まで、幅広い年代の生産者が互いのハウスを訪問し、生育状況について情報共有・意見交換するなど、協力し合って高品質な「御厨ぶどう」づくりに一丸となって取り組んでいます。 「高齢のため引退する農家もあります。消費者の皆さんに毎年おいしい御厨ぶどうが届けられるよう、若い世代へ生産のバトンをつないでいくことも、これからの大きな課題の一つです」

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