網目はおいしさのしるし
1株1玉で大事に育てる極上のおいしさ

玄界灘に突き出すように伸びる松浦市星鹿半島。温暖な気候に恵まれたこの土地で、父の代からメロン作りを行う、松浦メロン部会部会長 辻邦彦さんのハウスにお邪魔しました。

メロンのハウス
 入ってまず目に飛び込んでくるのは、青々と繁る大きな葉。その茎をたどって視線を落とすと、メロンがずらり空中に浮かぶ、なんとも眼福な光景。この地域の土はさまざまな作物がよく育つ赤土の土壌に恵まれています。水や肥料をほどよく保ってくれる性質がありメロンの栽培に最適です。

大事に育てる
 メロンを空中に吊るす理由は、地面や葉との接触を避け、美しく健やかなメロンに仕上げるため。不要な芽やつるを毎日手作業で丁寧に取り除き、病気や虫を寄せ付けない強い株に育てます。また、本来1本の株から複数のメロンが収穫できるところを、あえて1株1玉にすることで養分を集中させ、糖度の高いメロンに育てているのも、松浦メロンの栽培の特長です。質が高く糖度が安定しているため、市場で高く評価されています。

農家とJAの二人三脚
 この日ハウスでは、辻さんとJA営農指導員の丸田さんが、メロンの出来栄えと今季の栽培について話していました。
 営農指導員は、農家に栽培技術や肥料などの最新情報を共有するだけでなく、畑を訪れて直接作物の病気や害虫を発見し、一緒に対策を検討するなど、栽培のサポート全般を行っています。また、地元で大人気
の「アールスメロンまつり」開催やふるさと納税への出品など、販売ルート拡大にも貢献。まさに農家と二人三脚で、おいしい松浦メロンを全国に届けています。

見た目とおいしさの比例
 さあ収穫の時期、地域の集荷所には複数の農家からとれたてのメロンが次々と集まります。実際に一つ包丁で切って、気になる味をチェック。果汁があふれるほどジューシーで、後味までおいしい風味と甘味。とてもよくできているね、と笑顔の松浦メロン部会メンバーです。
 その後、部会のメンバーが1個1個手に取ってその出来栄えを確かめながら、丁寧に箱詰めして出荷作業を行いました。
 「メロンの網目模様は、実は葉の大きさや温度・湿度管理の結果が現れる部分。温湿度計だけでなく自分の肌の感覚、経験による勘もフル活用して日々面倒を見ています。きめ細やかで均一な模様のメロンは、栽培もうまくいった証拠。とってもおいしいんですよ」と辻さん。

メロンの選び方と食べごろ
 網目が盛り上がって、模様が細かく入っているメロンを選ぶのがおすすめ。アンテナ部分(つる)は栄養の通り道なので、しっかりとした太さのものがよりおいしいそうです。
 食べ頃は、収穫から1週間頃そっと触れてみて少し柔らかくなったころ。買ってきたら直射日光を避けて常温で追熟させ、食べる直前の1〜2時間だけ冷蔵庫に入れて冷やして食べるのが一番おいしい食べ方、と辻さんが教えてくれました。
 今年はみんなでとびきりおいしい松浦メロンを食べて、元気に夏を乗り切りたいものですね。

 「移住組の先駆けですね」という問いかけには、「そうですかねぇ」と乾さんは気負った様子は無く、「釣りが趣味で、仕事の合間は釣りばかりしています。平戸に来てから、体も丈夫になりました!」と、いたって自然体です。
 とはいえ、「現在は1日に5キロほどの出荷量ですが、いずれは年間3トンの出荷量を目指し頑張っています。次々に生えてくるアスパラの収穫は休む暇もなく、特に夏場は暑くて大変ですが、たくさん収穫できるとやはり嬉しいです」と生産者としての力強い言葉も聞けました。「今後、台風対策など、まだまだ勉強すべき課題もいっぱいです」と真摯な様子も伺えます。
 現在、乾さんは、平戸へ来てから知り合ったパートナーと共に、二人三脚でアスパラの生産を頑張っています。「この先も、ずっと一緒にやっていけたらいいなあ」と話す、照れたような優しい笑顔が印象的でした。
 いつまでも自然体で、若者が憧れる新しいライフスタイルのお手本となるような存在になることを期待しています。

Jasmile Vol.12(2022 Summer)掲載