糖度が高く、濃い味が特徴の西海みかん。

 4・5ヘクタールもの広さのみかん畑で大和さんが栽培している西海みかんは、早熟早生、早生、させぼ温州の3種類で、月からほぼ1ヶ月おきに順に出荷されていきます。取材に伺った
月初旬は、早熟早生の収穫がまさに始まった時期でした。

 西海みかんは、糖度度以上の「味まる」、糖度度以上の「味っ子」、また、させぼ温州の糖度度以上になると長崎県統一ブランド「出島の華」といったブランドみかんとして全国各地に出荷されており、特に高品質のものは高級果物専門店などでも取り扱われるなど、高い市場評価を受けています。

 「西海みかんには、ブランドとしての品質を保つために、適正な摘果の実施やシートマルチ栽培を行うなどの基準が定められています。まずそれらをしっかりと守ること。さらに天候に合わせた水分の調整などに気を配っています」と大和さんは話します。

 シートマルチ栽培とは、白いシートで畑一面を覆うことで土の中の水分量を調整し、白いシートが太陽光を反射し光合成が促進され、より甘いみかんを作ることができる栽培方法です。また、佐世保の気候は基本的に夏の雨が少なく乾燥しており、海からのミネラルも豊富で、みかんの栽培に適しています。このような栽培努力と地域特性を活かして、西海みかんは他の産地のみかんと比べても、糖度が高く味にコクと深みを生み出すことができます。

 「みかんにとっては6月に雨が多く、7月には少ないことが理想です。しかし今年はそれが逆になってしまったため、こまめな水分調整や塩害から守ることなど、とても大変でした。美味しいみかんを作る上で一番苦労することは、やはり天候との戦いです」と大和さん。苦労の甲斐あってか、今年も美味しいみかんがたくさん実ったようです。ご家族やパートの方々と共に、とても楽しげに、手際よく収穫を行っていました。

 取材する中で、大和さんから「将来はみかん産業を引っ張っていく存在になれるように頑張ります」と、心強い言葉が聞けました。これからも自慢の美味しい西海みかんを多くの人たちに届けてくれることでしょう。

Jasmile Vol.9(2019 AUTUMN)掲載