旬のごちそう 丹精込めて育てた粒ぞろいの宝物
みんな大好き、ぶどうの季節がやってきました! 松浦市の特産品「御厨(みくりや)ぶどう」は、6月末から8月末に収穫され、県内を中心に出荷されます。糖度18度の濃厚な甘さが最大の特長。ふわっと広がる芳醇な香り、口に入れたとたん弾けるみずみずしい食感。一粒でたちまち幸せな気分にしてくれる御厨ぶどうは、夏ギフトにも人気の果物です。

糖度は18度以上 特別なおいしさ
松浦市御厨町・星鹿町では9戸の農家が、シャインマスカット・巨峰・安芸クイーンの3種類のぶどうを栽培し、県内を中心に出荷しています。御厨ぶどうは、何と言っても糖度18度以上という圧倒的な甘さと、ぶどう本来の豊かな味わい、香りの濃さが魅力。一度食べたら忘れられないおいしさです。
なかでもシャインマスカットは、さわやかな風味と皮ごと食べられる手軽さで、特に近年人気が高まっています。
一年かけて育むぶどう
収穫は6月末から8月末のわずか2カ月ほどですが、極上の甘さを生むための作業は一年を通じて続きます。
収穫後の9〜10月は枝から新梢が顔を出す時期です。ここでは余分な枝を落とします。12〜2月頃は剪定時期、枝に栄養が集中しやすい樹に整えていきます。3月までにハウスの天井にビニールを掛け、発芽を促します。冬季に暖房でハウスを温めることで、6月末〜7月収穫となります。4〜5月は葉の整理を行い、光や風が通る環境を作ることで良品質な実と生長していきます。収穫途中もビニールを剥がし暑さや台風に備えるなど、一年中細やかな気配りとお世話が欠かせません。

摘粒の作業。残す実を傷つけないよう注意しながら、余分な実をひとつずつ丁寧に取り除いていきます。

吉原さんのハウスでは近年、お客さんの要望に応じて、シャインマスカットの生産量を増やしています。
収穫間近のお世話
取材に訪れた6月上旬、収穫時期を前に吉原さんのハウスでは「摘粒(てきりゅう)」と「袋掛け(ふくろがけ)」の作業が行われていました。
摘粒とは、あえて実の数を減らす作業。ひと房ずつ実のつき方を見ながら、余分な実を丁寧にハサミで取り除きます。「もったいないと思われるかもしれませんが、これがおいしいぶどうを育てるための大事な仕事なんです。一粒ずつに栄養がしっかり行きわたって、甘みがぎゅっと凝縮されますし、粒と粒の間に適度な空間ができることで、大きくて粒ぞろいの、見た目も美しい房が仕上がります」と吉原さん。摘粒が終わると、袋掛け。ひと房ずつ紙袋をかけることで病気や害虫、強い日差しなどからぶどうを守ります。
一年間、これらを全て手作業で約6千房分。吉原さんと奥さんの2人でやり遂げるというから驚きです。気の遠くなるような地道な作業の積み重ねが、御厨ぶどうのおいしさを支えているのですね。
ぶどうに最適の赤土
こうした丁寧なお世話はもちろん、松浦の温暖な気候と赤土の土壌も、ぶどうのおいしさを支える大きな要素だと吉原さんは語ります。「このあたりの赤土は保水性と排水性のバランスがよくて、根が張りやすいんです。ほどよく栄養と水分を保つので、甘みがしっかりのった実が育ちます」堆肥や油かすなど植物由来の有機物を使用。
土の中の微生物を元気にする土づくりからも、吉原さんのぶどうへの熱意が伝わってきます。

シャインマスカットはやわらかな日差しを好むため、他の品種より葉を多めに残しているんだそう。

JA ながさき西海の営農指導課長 岡村さん。(写真右)
「おいしい御厨ぶどうを、より多くのお客様のもとに届けるべく、生産者さんと力を合わせて活動しています」
夏のごほうび、贈り物にも
収穫のピークとなる7月28日と8月4日、毎年恒例の「ドライブスルー即売会」が行われる予定です。吉原さんたちが丹精込めて育てた極上の御厨ぶどうを求めて、例年100台を超える車が行列を作ります。
「今年も甘くておいしいぶどうに仕上がっていますので、ぜひたくさんの方に食べてほしいです」と吉原さん。
暑い日を乗りきるごほうびに、家族が集まる日のデザートに、またお中元として各地へ贈る人も多いそうです。ひと粒に込められた情熱とおいしさ、ぜひ今年も味わってみてくださいね。

袋掛けしてあった安芸クイーン。
ここからさらに赤く色づいていくそう。

成長途中のシャインマスカットを試食。
まだ酸味があるものの、皮の香りも味わいも濃厚でおいしい!